Hatena::Groupastrobot

Grivet

Grivet

ミドリザル

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/56/AwasaVervet.jpg/220px-AwasaVervet.jpg

アフリカ大陸サハラ以南では一部を除きどこにでもいるサル。サバンナモンキーの名の示すとおり、地上でよく見かけるが、樹上でも生活する。また、ベルベットとは光沢に富んだパイル織物、ビロードのことであるが、美しい毛並みからそう呼ばれることも頷ける。学名のaethiopsは「日焼けをしたような」という意味だそうだが、確かに真っ黒な顔をしている。住んでいる地域により顔の黒さなどに差が大きく、20以上の亜種に分けられるという。霊長目としては珍しく数が保たれているため、実験動物として重宝されている。とくに、マールブルグウイルスエボラウイルスなどのウイルス感染症ではその貢献はまさに多大である。

動物実験というと残酷なイメージを抱かれる御仁も多いとおもわれるが、現時点において治療法の確立されていない疾患の治療には新薬の開発は不可避であり、そのためには生物を使った実験が不可避である。我々は日常より、生き延びるために他種の生命に犠牲を強いている。それは新薬開発に限らず、日々の食事もまた同様だ。菜食主義者とて植物の命を奪っている限り、その罪は無ではない。無論、だからといって毛皮を採るために殺していいということにはならない。実験のための犠牲と贅沢をするための犠牲とではおのずと異なる。毛皮がなくても生きていけるが、健康でありたい、生きたいというのは我々が生命体である限り持ち続ける感情なのだ。

食べなければ我々は生きていけない。彼らは我々のために犠牲になっているのだが、それは我々が生き延びるためには不可避の犠牲なのだ。病気の解明も、新薬の開発も同様である。その事実を無視して動物実験に対してかわいそうというのは、想像力がなさ過ぎると言わざるを得ないだろう。米一粒の命と、サルの命とに軽重の差はない。大切なのはこうした彼らの尊い犠牲を無駄にしないように、その命を受け継いだ我々が精一杯努めることなのだ。

さて、このサバンナモンキーにはもう一つ、我々医療従事者とは切っても切れない顔がある。AIDSの病原体であるHIV(Human immunodeficiency virus=AIDSウイルス)の自然宿主との説があるのだ。たしかにサバンナモンキーにはヒトの成人T細胞白血病の病原体であるHTLV-1と免疫交叉性のある(つまり似ているということ)サルT細胞白血病ウイルスによるSTLVが感染し、悪性リンパ腫を発症することが知られている。しかし、HIVとの関係は明らかになったわけではない。

なお、HIVの治療研究に使われているサルはむしろアカゲザルである。こちらはサル後天性免疫不全ウイルス(Simian immunodeficiency virus:SIV)を感染させることができ、HIV治療モデルとしているのだが、いまだ野生のアカゲザルからSIV抗体を有しているものが見つからないことから自然宿主ではないと考えられている。

(サバンナモンキー)